公開日: 2025/02/24
【キャブ詰まり】メカニズムと初心者向けの清掃&オーバーホール
バイク店のオーバーホール費用は0.8~4万円ですが自分でも挑戦できる作業です
バイクのキャブレターが詰まってしまう原因の多くは、キャブ内に溜まっているガソリンの劣化です。
劣化したガソリンがキャブレター内部で固着しガソリンの通り道を塞ぐことをキャブ詰りと言います。
キャブレター内部のどこで詰りが発生しているかによって症状は異なりますが、オーバーフロー(ガソリン溢れ)、アイドル不調、吹け上がり不調、エンジンがかからない等のトラブルに直結します。
キャブ詰りを直すには、キャブレターの清掃、若しくはオーバーホール(清掃に加え劣化した部品を交換する)が必須となります。
キャブレターのオーバーホールをバイク店に頼んだ場合、気筒数やキャブレターの位置によって差は出ますが、8,000~40,000円程度が相場になります。
キャブレターのオーバーホールは、機関系の修理としてはオーナーさんご自身でも挑戦しやすい部類に入ります。
とはいっても微細部品を扱う作業になりますので、細心の注意を払う必要があります。
今回は、ご自身で行うキャブレターのオーバーホール作業の手順を中心に、キャブ詰りの原因やメカニズムについてご紹介いたします。
1)キャブレターの役割とは?
そもそもキャブレターの役割とはなんでしょうか?
オーバーホール作業や修理依頼前にキャブレタ がバイクを動かすためにどんな役割をしているか知っておきましょう。
エンジンを動かすためにはガソリンと空気をエンジン内の燃焼室へと送り込まなければなりません。燃焼室に送り込まれたガソリンと空気はピストンにより圧縮され点火プラグの火花により爆発します。
その爆発が繰り返し起こりエンジンは動き続けます。キャブレターとはバイクを動かすうえで、エンジンに混合気(ガソリンと空気)を送り込む重要な役割を担っています。
もう少し細かく説明すると、キャブレター 下部にはフロート室と呼ばれるガソリンをため込む部分があります。フロート室に溜められたガソリンはエンジンのピストンが下がる事で 生じる負圧により(吸い込まれる空気により)キャブレター 内の細い通路を通ってフロート室からエンジンへと吸い上げられます。
吸い上げられたガソリンは霧状になり空気と混ざり合います。この混ざりあったガソリンと空気を混合気と言います。
キャブレターはアクセル開度やエンジンの回転数に応じて常に最適な混合気を燃焼室へ送り込む働きをしています。
キャブレター 本体や内部にトラブルが生じると上手くガソリンを送る事が出来なくなったり、混合の割合が適性にならず吹け上がりが悪くなったりエンジンの始動が悪くなったりエンジン始動できなくなります。
2)キャブレター 詰まりの主な原因とメカニズム
キャブレターの詰まりの原因の多くはガソリンの劣化によるものです。
車両に乗らずに放置していると半年程度でキャブレター 詰まりが発生しやすくなり、放置期間が長ければ長いほどその可能性は高まります。
少なくても数リットルのガソリンを入れるここがガソリンタンクとは異なり、キャブ内に貯められるガソリンは非常に少量で尚且つ空気に触れやすいため酸化しやすく、キャブレター 内のガソリンはタンク内のガソリンより早く劣化します。
劣化したガソリンは酸化や蒸発によって濃度と粘度が高くり進行すると黒いヘドロ状になっていきます。 長期間放置されていたバイクのキャブレターの外側に白い粉のようなものが固着していたら、それは蒸発しきって固着したガソリンです。
キャブレター 内にはスロージェットやメインジェットと呼ばれる小さな穴が空いた微細部品が使われています。
このジェット類の穴が詰まってしまったり詰まり気味になってしまうと適切な混合気が燃焼室に送り込まれずアイドリングや吹け上がり不調が発生します。最悪の場合はエンジンが掛からなくなります。
キャブ詰まりによるアイドリング不調や拭け上がり不調、始動しないなどのトラブルが生じた場合、キャブレターの清掃やオーバーホールといった作業が必要になってきます。
劣化したガソリンはジェット類の穴を詰まらせる他にもフロートバルブの固着やフロートの固着の原因にもなります。
フロートバルブやフロートが固着した場合には、オーバーフローやガソリンがタンクからキャブ内へ流れ込まなくなるという症状が現れます。
また、タンク内に錆がある場合、錆がキャブレター 内へ流れ込んでしまいジェットに詰まりエンジン不調を誘発したり、フロートバルブに挟まってバルブが閉じなくなりオーバーフローを誘発させる事もあります。
その他にもスポンジのエアークリーナーを使用してる車両で、スポンジ自体が劣化しボソボソになってしまうと吸気の際に空気と一緒にスポンジのカズを吸い込んでしまいキャブレター 本体の通路に詰まり、 ジェット類が詰まってしまった時と同じ症状が起きてしまいます。
キャブレター 詰まりには大まかにこのような原因が挙げられます。
3)キャブのオーバーホールを自分で行う際の注意点
キャブレターのオーバーホールや清掃をオーナーさんご自身でやってみたいという方は多く、問い合わせも良くいただいております。
実際にご自身でオーバーホール作業をしているオーナーさんも少なくありません。
単気筒のバイクであればそこまで難しい作業では無いので工具や知識があれば実際にご自身でチャレンジしてみるのも良いと思います。
チャレンジに当たっては作業ミスによる不調や破損といったリスクが伴う作業である事を念頭によく考えてから入念な準備と細心の作業をする事をお勧めします。
自信がなかったり不安に思う場合は専門業者さんでも快く受けてもらえます、その際にかかる費用は8,000円前後から40,000円前後になります。 この値段の差はシングル、ツイン、マルチとキャブの数が増えるほど単価も高くなります。
また、キャブレターを外すまでに、カウル等の外さなければならない部品が多い場合にも(キャブレターを外すまでの工数によっても)値段が変わってきます。
それではご自身で作業を行うにはオーバーホールが良いのか?清掃が良いのか?
上段の『キャブレター詰まりの主な原因とメカニズム』でもご説明した通りキャブレター 内にはメインジェットやスロージェットと呼ばれるガソリンの通り道となる穴の空いた微細部品が使われています。
スロージェットに関しては非常に小さな穴が空いており大変詰まりやすい構造になっています。
ご自身で作業を試みたものの(ジェットの詰まりが完全に取れておらず)「キャブの清掃作業をしたが調子が悪い」という声も多々聞きます。
そういった失敗を犯さないためには部品交換も行うオーバーホールをお勧めしています。
フロート室の蓋にはゴム状のパッキンが多く使われています。パッキンは劣化しやすく型がついている事も多いため、清掃と同時に劣化部品の交換まで行うオーバーホールをお勧めしています。
新品部品を使うことで、微細部品に対する作業ミスや未完了を事前に防ぐ事も出来ます。頭に入れ事前に準備をしておくと良いでしょう。
車種によってはオーバーホールキットという物も販売されているので、初めての方はその辺を購入し作業に挑むと良いでしょう。
オーバーホールキットにはジェット類やパッキンを含めフロートやニードル、パイロットスクリュー等が含まれているキットもあり、車種によって値段は変わってきますがキャブ一個に対し3,000円~4,500円前後で購入可能です。
4)キャブレター 清掃(オーバーホール)の手順
▼キャブレター 清掃(オーバーホール)の手順
1 キャブレターを車両から外す
キャブレターを車両から外す際は燃料コックをOFFにしドレンボルトを緩めキャブレター 内のガソリンを抜きます。
次にアクセルワイヤーや燃料ホース、インシュレーターやインテークマニホールド等、キャブレターに繋がっている部品をキャブから外します、チョークやオートチョークのケーブルや配線カプラーも外します。
2 キャブレターを分解していく
●オートチョークがついている場合はオートチョークを本体から外します。
●次にパイロットジェットを取り外します(ホンダの場合は特殊工具が必要)、パイロットジェットを外すと中にバネ、ワッシャー、Oリングが入っている場合がありますので忘れずに取ります。
この時パイロットジェットを一度最後まで締め込み何回転戻してあるかを確認しておきましょう。
(パイロットジェットはスロットル全閉~1/4までの混合気の調整ネジですので必ず確認しメモを取っておくと良いでしょう)
●キャブレターを分解していくにはこれといって順番がある訳ではありませんがダイヤフラム側(上部の蓋)から外しましょう。
理由としてはフロート室側から開けてしまうとフロートの受けやジェット類の通路が出ているので置いたときに安定しない事と傷をつけてしまう可能性や、ネジが固着している事もあり力が加えにくくなってしまう点が挙げられます。
蓋を外しダイヤフラムを抜き取りますがこの時、中にバネが入っているので蓋をしっかり押さえながら開けていきましょう。
●次にフロート室を開けたらフロートのピンを外します。横へスライドするタイプやネジで止められているタイプのものがあります。 ピンを外したらフロートとフロートバルブを外します。
●フロートを外し終わったらジェット類を外します。
メインジェットは普通のマイナスドライバーでも外せますがスロージェットは専用のドライバーが必要となりますので注意しましょう。
メインジェット、スロージェット、メインノズル、ニードルジェットを取り外します。
(キャブレターの種類によっては内容が異なります)
3 キャブレター 本体やジェット類の詰まりを取り清掃する
●ジェット類の詰まりを解消する
ジェット類の詰まりを解消するにはキャブレター クリーナーやジェットの詰まりをとるニードルを使います。
まずジェット類の穴にキャブレター クリーナーを吹き付け穴が貫通しているジェットと貫通していないジェットを確認をしておきます。
確認が出来たらフロートの蓋にキャブクリーナーを溜め、その中にジェット類を入れ、つけ置きしておきます。
こうする事により詰まりを取れやすくし、微妙な汚れを取り除く事ができると共ににフロート室の蓋についた汚れも除去しやすくする効果があります。
(つけ置きの間にキャブレター ボディの清掃をしておくと効率的です)
ある程度つけおきしたらキャブクリーナーからジェット類を取り出し(ジェット類を取り出したらフロートを入れておきましょう)ニードルでジェットの詰まりを取ります、この時必ず小さなニードルから順番に使いましょう。
穴より大きなニードルをさしてしまうとジェットの穴が広がり不調の原因につながります。
ジェット類の汚れや詰まりが取れにくい場合はヒートガンで温める事で取れやすくなります。
ジェット類の詰まりが取れたらパーツクリーナーで貫通しているかを再確認し、エアブローします。
最後にジェット類を光に透かし穴が貫通しているかを確認しておくと良いでしょう。
●キャブレター ボディの通路の確認と清掃
長く放置されていたバイクのキャブレターの内部は劣化したガソリンがドロドロになりこびり付いている事があります。
まずは通路の確認をするためにキャブレター クリーナーを各通路に噴射し貫通しているかを確かめます。
貫通していない部分がある場合にはキャブレター クリーナーをかけヒートガン等で温めると詰まりが取れやすいでしょう。特にパイロットジェットは詰まりやすい部分ですので必ず確認しましょう。
確認が出来たらキャブレター クリーナーでボディーにこびり付いた劣化したガソリンを除去します。
この時なかなか取れない場合は先端の小さい歯ブラシなどで擦ると取れます、取り終わったらパーツクリーナで一度綺麗にしエアブローで確認しましょう。
フロート室の蓋に入っているフロートを取り出し溜めてあったキャブレター クリーナーを捨てます。
つけ置きされていた蓋の底部とフロートはある程度は綺麗になっていると思いますがこびり付いた汚れが残っている場合はキャブレター クリーナーと歯ブラシで綺麗にしエアブローします。
4 フロートバルブのチェック
フロートバルブはガソリンが余分に流れ込んでしまう事を制御するバルブです。フロートバルブに不具合があるとキャブレター 内にガソリンが流れ込まない又はオーバーフローの原因になりますので注意が必要です。
フロートバルブ先端のゴムの部分に段がついている場合は新品への交換をお勧めします。
フロートバルブ上部のピンの動きもしっかりとチェックしましょう、正常であれば押せば引っ込み離すと出ますが劣化したガソリンが原因で固着してしまっている場合があります。
その場合はキャブレター クリーナーをゴム部分につかないように噴射し暫く時間を置いてからラジオペンチなどでピンを掴み回してあげると良いでしょう、その際力を入れすぎてピンに傷をつけないように注意しましょう。
また、固着が取れない場合にはヒートガンで温めてあげると固着が取れやすくなります。
5 キャブレターの内部部品を組む
全てのパーツの清掃と確認が済んだら次はパーツを組んで戻していきます。
ニードルジェット、メインノズル、メインジェット、スロージェット、フロートバルブ・フロートという順番で組んでいきます。
組み終わったら蓋を閉めますが元々ついていたパッキンは潰れていたり古く劣化している可能性がありますので必ず新しいものに交換しましょう。
(今回の作業ではエンジン始動を優先する為交換していません)
新しいものに交換する際もパッキンを入れる溝の部分に異物がないかを確認しておくと良いでしょう。
●ダイヤフラム側を組む
フロート室側が組めたら最後にダイヤフラムを入れます、この時向きがある場合があるので確認しながら作業しましょう。
ダイヤフラム、バネ、蓋の順で組んで行き最後にネジを締めます。
●オートチョークを取り付ける
オートチョークを元の向きと同じようになるように本体に取り付けます。
●パイロットジェットを組む
パイロットジェットを外した順番(Oリング、ワッシャー、バネ、パイロットジェット)に入れ最後まで締め込みます、最後まで締め込んだら外すときに確認した回転数分だけ緩めます。
●キャブレターを車体に取り付ける
キャブレターのオーバーホールが終わったら車体に取り付けて作業完了です。
ホース類は太さを確認し必ず所定の場所に繋ぎましょう。
※オーバーホールの場合ジェット類は新品に変わるためジェット類の清掃等は必要ありません。
5)キャブレターオーバホールのまとめ
ここではキャブレターの役割やオーバーホールの手順について説明いたしました。
キャブレターオーバーホールの作業はそこまで難しい内容ではありません。
愛着やバイクの構造等に興味を深める意味でも意欲がある場合には是非チャレンジしてもらいたい事でもあります。
しかし注意点として留意して頂きたいのは、
作業中の破損や二次トラブル、作業の見落としによって不調が改善されない事も起こりうるという点です。
また、キャブレターの詰まりと判断したが不調の原因が間違っている、分解作業中に他のトラブル箇所を発見するといった事も珍しくありません。
その辺りのリスク等も考えてから作業に移ると良いと思います。
キャブレター 詰まりは、その多くが車両の放置によるものです。 放置されていた車両に使われているゴム製品(シールやパッキン類)は放置により劣化の進行速度が速くなります。
劣化し硬くなってしまったゴム製品は長い放置後、動かされる事によりオイル漏れの原因になる事が多々あります。
フォークからのオイル漏れやエンジンからのオイル漏れ等の場合、走行の危険やバイクその物の破損にも繋がります。
その辺も踏まえキャブレターのオーバーホール後には車両全体の点検確認や、専門店へ点検依頼をする事を推奨いたします。安心して長く乗れる車両に整備することが肝要です。
当社は買取販売店であり、年間に5千台を超えるバイクを買取致しております。
その中には放置している間に劣化が進行し動かなくなってしまった不動バイクの買取依頼も多くございます。
なんとなく乗る機会が減っていった、自分の体格に合わず乗りにくかった等の理由でバイクから遠ざかり、気付いたら10年以上も放置していたというケースも良くあります。
車両を放置するとキャブレター内だけでなく当然、車台全体の錆によるダメージやタンク内、フロントフォークの錆の発生のリスクが一気に上がってしまいます。
放置期間が長くなるにつれバイクは劣化し買取価値も減っていきます。
エンジンがかからなくなると、放置期間が長くなる傾向があり、次第にタイヤのエアが抜けブレーキは固着して車両の押し引きすら難しくなっていきます。更に金属が朽ちていくと車体としての価値も無くなってしまいます。
そうなる前にもう一度本当に乗るのか考え出張査定を依頼してみても良いと思います。
思いがけない査定額が次の車両への架け橋になってくれるかもしれません。
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