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他にはないリーズナブルな現代版空冷パラレルツイン

1990年代の初めはレーサーレプリカからネイキッドへの移行期で、400ccクラスにも多様な車種が揃っていた。後にGSX400インパルス(GK79A)にポジションを明け渡すバンディット400(GK75A)と、ネイキッドの代名詞ゼファー400(ZR400C)が1989年に登場し、初代CB400SF(NC31)が1992年、少し遅れてヤマハのXJR400(4HM)が1993年に登場したことで、レーサーレプリカやアメリカンと合わせてカテゴリーにも幅広さがあった。そんな多種多様な中にも空白のスポットがあり、そこを突いてスズキが登場させたのがGS400E(GK54A)となる。

4気筒エンジンが主流の中、あえて2気筒エンジン、しかもVツインではなくパラレルツイン(並列ツイン)である。当時ではカワサキのGPZ400S(EX400A)やバルカン400(EX400B)が水冷並列2気筒エンジンを搭載していたものの、空冷並列2気筒はGS400Eのみ。ヨーロッパでは1987年からラインナップしていたGS500Eのスケールダウンモデルで、ボア×ストロークを71.0×50.4に変更し、排気量を487ccから399cc、最高出力を52psから39psに抑えた形となる。400ccクラスと言えばGSX-R400R(GK76A)、GSX-F400[GSX400F](GK74)、バンディット400(GK75A)しかなかったスズキは、これでやっと4車種になったというわけだ。

しかし、ロケットカウル装備の「リミテッド」、可変バルブのVCエンジンを搭載した「V」とバンディット400のバリエーションを拡大させ、また、1992年のGSX400Sカタナ(GK77A)、グース350(NK42A)といった個性的なモデルが登場し、シンプルでオーソドックスなGS400Eの存在感は決して高いと言えるものではなかった。往年のGSシリーズは高値のため、安価に空冷並列ツインを楽しみたいライダーに最適なモデルである。