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トラスフレーム+位相クランクの並列ツインで独自の走りが楽しめる「TRX850」

1990年代後半は、VTR1000F(ファイアーストーム)、TL1000S、TL1000R、などのVツインスポーツに注目が集まった。しかし、それよりひと足早く2気筒というパワーユニットに着目し、ツインスポーツの魅力を知らしめるキッカケとなったのがTRX850。国産ツインツポーツの先駆けと言っても過言ではない。トラクション特性に優れた並列2気筒をトラスフレームに搭載し、高性能を追求したのではなく「乗る楽しさ、操る楽しさ」を重視しているのが特徴だ。

エンジンはXTZ750スーパーテネレをルーツに、ヨーロッパで高い支持を得たTDM850がベース。270度位相クランクというヤマハ独自のクランク軸設計の水冷DOHC5バルブ並列2気筒エンジンは、不等間隔爆発による独特の力強いトラクションと、Vツインと同様の「ダダン、ダダン」という鼓動感を楽しめる。一方、40度前傾シリンダーはマスの集中化、低重心化を実現し、エアクリーナーの大容量化(7.1L)やポートのストレート化などにも貢献。加速ポンプ付き38mmダウンドラフトキャブレター、マップ制御式イグナイターユニットなどなど最新技術も盛り込まれた。

TRX850の最大の特徴とも言うべきものが、DUCATI(ドゥカティ)に代表されるアンダーチューブを持たないトラスフレーム。軽量・高剛性の鋼管トラス構造は、エンジンや路面からの感覚がリアルに伝わる。前後サスは、イニシャル調整(15段階)と減衰調整機構(4段階)を持つ41mm正立フロントフォークに、サブタンク別体式のリンク式モノクロスサス(伸圧減衰20段階、イニシャル7段階)。ブレーキは、フロントが398mmのフローティングディスクにブレンボ製4ポッドキャリパー、リアが245mmディスクに対向2ポッドキャリパー。さらに3.50-17/5.50-17のホイールなど、スポーツモデルとして必要十分なスペックを備え、ストリートからワインディングまで、ツインならではの世界を堪能できる。